公開日:2026.3.12

GC(ガスクロマトグラフ)は、化学・環境・医薬・食品といったさまざまな分野において、気体・液体・固体サンプルの気化成分分析に用いられる機器です。
この記事では、GCの原理や使い方などの基礎知識から、選定ポイントまで幅広く解説します。
GCの選び方やアプリケーションでお困りの方は、お気軽にご相談ください。用途やご予算に応じて、最適な選択をご提案いたします。
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目次
GC(ガスクロマトグラフィー)とは

GCは「Gas Chromatography」の略称で、ガスクロマトグラフィーと呼ばれる分析手法です。気体や気化した液体、固体の揮発性成分といった「気体状態」のサンプルを成分ごとに分離し、定量・定性的に分析するために用いられます。
末尾の違いで、クロマトグラフィー(※1)は測定方法、クロマトグラムは測定結果、クロマトグラフは機器を指し、ガスクロマトグラフィーを行う機器は「ガスクロマトグラフ」と呼ばれます。また、便宜的に機器を「GC(ジーシー)」と呼んだり、「ガスクロ」という略称で呼んだりします。
(※本記事でも「GC」を機器呼称としても用いています)
さらに、分離後の成分を質量分析計(MS)にかけることで、化合物の同定確認や構造情報の取得を行うことも可能です。GCとMSを組み合わせた機器は「ガスクロマトグラフ質量分析計」と言い、「GC-MS」「GC/MS」などと表記され(※2)、「ジーシーマス」と呼ばれることが多いです。
一方、気化できない液体や生体サンプルなどの溶液の分析には、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)が用いられます。詳しくはこちらの記事をご覧ください。
HPLCとは?基本情報や選定ポイント、おすすめメーカーまでご紹介
※1 クロマトグラフィー… 分離手法のひとつ。固定相への物質の吸着力の差を利用して、色々な物質が混ざった混合物から、純物質を分離する。
※2 略称表記について… この記事の公開日時点でJIS規格では「JIS K 0214」において、分析法を「GC/MS」、装置を「GC-MS」と定義している。(参照:「日本規格協会グループHP」の該当規格を検索)一方で、IUPACではどちらの表記でもよいとされており、実際には厳密な使い分けはされておらず、どちらの表記でも通用する。
主な活用分野

GCの実用化は1950年代に始まり、石油産業や石油化学工業を中心に重用され、現在も同分野における成分分析に欠かせない技術です。
ほかにも環境分野では、工場の排ガスの環境基準の検証に利用されるなど、大気汚染の予防にも役立てられています。
創薬分野では医薬品中の有効成分や不純物の分析、食品業界では香り成分の測定による品質管理、そのほか科学捜査、考古学など幅広い分野で活用されています。
GCの原理と仕組み
次に、GCの原理と仕組みについて解説します。
GCの原理

GCにおいて分離の基盤となるのが「移動相」と「固定相」という二つの要素です。
移動相はサンプルを機器内部へ運ぶ役割を持ちます。GCでは化学的に不活性なガスが用いられ、「キャリアガス」と呼ばれます。固定相はサンプル中の成分を、相互作用によって一時的に保持する役割を担っており、GCでは内壁や充填剤に固定相となる物質がコーティングされた「カラム」が用いられます。
固定相との相互作用の強さは成分ごとに異なり、サンプルがキャリアガスとともにカラムを通過する過程で、保持時間に差が生まれます。この差によって、サンプルは成分ごとに分離されます。
さらに、各成分と固定相の相互作用の強さは、カラムの「温度」によって変化します。
一般的に、カラム温度が高くなるほど成分は固定相に留まりにくくなり、保持時間は短くなる傾向があります。一方、カラム温度が低いほど、保持時間は長くなる傾向があります。(※3)
保持時間は短すぎると十分な分離が得られず、長すぎても分析効率の低下を招きます。成分ごとに揮発性(沸点)は異なるため、分析対象となるサンプルに応じて、適切な温度条件を設定する必要があります。
※3 補足… 適切な保持時間の調整にあたっては、「温度」以外にも後述する「キャリアガスの選定」「カラムの内径・長さ・液相の膜厚」「固定相の種類」や、「移動相の濃度」「分配係数」といった複数の要素が関与する。
GCの基本構成

ここからは、GCを構成する要素について、詳しく解説していきます。
①キャリアガス(移動相)

キャリアガス(移動相)は、GCにおいてサンプルを機器内部へ運ぶという重要な役割を果たしています。
キャリアガスには「化学的に不活性である」「検出器に悪影響を与えない」「カラムを劣化させない」などの条件が求められます。また、安定した分析結果を得るため、極めて高純度のガスが用いられます。
ヘリウム(He)、窒素(N2)、水素(H2)などが使用されますが、それぞれ特性が異なるため、条件や目的に応じた選択が必要です。(詳細は「キャリアガスの選定」にて後述)
また、分離の精度や再現性を維持するには、移動速度(保持時間)を一定に保つ必要があります。そのため、キャリアガスは、流量または圧力が一定になるよう厳密に制御されます。
②注入口

注入口は「インジェクター」「試料導入部」とも呼ばれ、分析したいサンプルをカラムに導入するための部位です。
注入口内部はサンプルを気体状態で安定的に導入するため、基本的には、高温に保たれています。
また、サンプルの吸着や分解を低減するため、内部表面には不活性処理が施されています。
注入口にはさまざまな種類があり、分析対象や目的に応じた選択が必要です。
(詳細は「注入口の種類と用途」にて後述)
③カラム(固定相)

「カラム」はサンプルの成分分離が行われる部位です。
内壁に固定相となる物質がコーティングされたものや、ステンレス管やガラス管に充填剤を詰めたものがあり、サンプル中の成分を一時的に保持する役割を担います。
キャリアガスとともにサンプルがカラム内部を通過する過程で、各成分と固定相との相互作用の強さの違いによって保持時間に差が生じ、それらの違いによって成分が分離される仕組みです。
固定相やカラムの種類、内径・長さ・膜厚によって特性が変わるため、分析対象や目的に合わせて最適な選択が必要です。(詳細は「カラムの選定」にて後述)
④オーブン

「オーブン」はカラムを収納し、その温度管理を行うための部位です。
カラム温度は、成分の分離挙動を左右し、分離の精度や再現性に大きな影響を与えます。したがって、分析対象や目的に合わせて適切な温度条件を設定することが重要です。
温度制御の方法には、カラムを一定の温度に保つ等温法と、時間とともに温度を上昇させていく昇温法があります。
特定の成分を高い再現性で測定する場合や、分離条件を単純化したい場合には等温法が適しています。
一方、昇温法は、低沸点から高沸点成分まで幅広い成分を含むサンプルを効率よく分析できるため、多成分分析で広く用いられています。
⑤検出器
「検出器」は、カラムで分離された成分を検出し、電気信号としてデータ処理システムへ送信する部位です。
幅広い成分を検出できる汎用検出器と、特定成分の検出に特化した検出器に大きく分類されます。検出器はそれぞれ原理や応答性が異なるため、分析対象や目的に応じて、最適な検出器を選択する必要があります。(詳細は「検出器の種類と用途」にて後述)
⑥データ処理システム

「データ処理システム」は検出器から電気信号を受け取り、データとして記録・処理を行う部位です。
電気信号として取得されたデータは、解析用ソフトウェアにより、クロマトグラムとして可視化されます。
これに適切な解析処理を行うことで、定性・定量的な分析が可能となります。
定性分析・定量分析
GCは主に定性分析(成分の同定)と定量分析(成分量の算出)に用いられます。
分析結果は、縦軸を検出器から得られた電気信号の強度、横軸をサンプル注入後から成分が検出されるまでの時間(保持時間)としたグラフ形式で出力され、検出された各成分はピークとしてあらわされます。
いずれの手法でも、既知のサンプルである「標準試料」と分析対象のサンプルを同一条件下で分析し、データを比較することで解析を行います。
定性分析

定性分析は、サンプルに含まれる成分の同定を行う方法です。
基本的に、分析条件が一定であれば成分ごとの保持時間は変わりません。左図のように、分析対象のサンプルに標準試料と同じ保持時間のピークが認められる場合、分析対象のサンプル中には、標準試料と同じ成分が含まれている可能性が高いと判断することができます。
定量分析

定量分析は、サンプルに含まれる成分の含有量を算出する方法です。
定量したい成分ごとに、標準試料を用いて左図の右上のような検量線を作成し、サンプルのピーク面積を標準試料と比較することで、成分の含有量を求めることができます。
HPLC(高速液体クロマトグラフィー)との違い

HPLCは、液体中に溶解した物質を、固定相との相互作用の差によって成分ごとに分離し、定性・定量的に分析するための技術です。GCと同様にクロマトグラフィーの一種ですが、分析対象の状態や相性が異なります。
HPLCは移動相が液体で、サンプルも「液体状態」のまま分析されるため、揮発性が低い物質や、熱的に不安定な物質の分析が可能です。
一方、GCの移動相は気体です。分析対象は気体・気化可能な液体・固体の揮発性成分といった「気体状態」のサンプルに限られるため、揮発性と熱安定性を有する物質に適しています(※4)。
それぞれの手法の特性を理解し、分析対象のサンプルに合わせて、最適な分析手法を選ぶことが重要です。
HPLC(高速液体クロマトグラフィー)については、こちらの記事で詳しく解説しています。
HPLCとは?基本情報や選定ポイント、おすすめメーカーまでご紹介
※4 補足… GCを用いて難揮発性の分析種を測定したい場合、サンプルの誘導体化処理などにより、分析可能となる場合がある。
GCの使用方法

GC(ガスクロマトグラフ)の一般的な使用手順は以下の通りです。
1.カラムを接続する
2.キャリアガスの流量条件を設定する(ガス種や制御モード選択、初期流量設定など)
3.カラム内の空気をキャリアガスに十分に置換する(★1)
4.注入口・検出器・オーブンを加温する(★2)
5.検出器の設定を行う
6.ベースラインが安定するのを待つ(★3)
7.サンプルを注入し、分析を行う
★1 …カラム内の空気をキャリアガスに完全に置換する前にカラム温度を上げると、カラムが劣化する可能性があるため。
★2 …成分の凝縮を防ぐため、検出器の温度はカラムの最高温度よりも高くなるよう設定する。可能な場合は、検出器・注入口の温度を先に安定させるとよい。
★3 …前回の分析の残渣などによりベースラインが安定しない場合は、オーブン温度を上げて一定時間保つことで改善する場合がある。
上記は一般的な手順であり、実際の操作方法は製品や分析目的によって異なる場合があるため、ご注意ください。
GCの移動相(キャリアガス)・固定相(カラム)の選び方
ここからは、キャリアガスとカラムの選び方をご紹介します。
キャリアガスの選定
キャリアガスには、一般的にヘリウム(He)、窒素(N2)、水素(H2)などが用いられます。それぞれ特性が異なるため、条件や目的に応じた選択が必要です。
以下に、それぞれの特徴を整理しました。
| ガス種 |
化学的安定性 |
最適線速度(※5) |
最適線速度範囲 |
流速設定の許容幅 |
分析時間 |
価格 |
供給 |
| ヘリウム |
高い |
中 |
広い |
広い |
中 |
高価 |
不安定 |
| 窒素 |
高い |
遅い |
狭い |
狭い(シビア) |
長い |
安価 |
安定 |
| 水素 |
高い(★) |
速い |
広い |
広い |
短い |
安価 |
安定 |
★ GC条件下における化学的安定性は高いが、可燃性のため安全対策が必要
※5 線速度… キャリアガスがカラム内を移動する平均速度を指す。「最適線速度範囲が広い」とは、高い分離効率を維持できる線速度の許容範囲が広いということである。
なお、流速は「線速度×カラム断面積」で表されるため、最適線速度範囲が狭い場合や内径の細いカラムを使用する場合は、流速調整がよりシビアになる。
カラムの選定
ここでは「カラムの内径・長さ・液相の膜厚」「カラムの種類」「固定相の種類」という3つの観点から、カラムの選定に必要な要素を説明します。
基本用語
本題に入る前に、基本用語について、あらかじめご説明します。
カラムの内径・長さ・液相の膜厚
カラムの内径や長さ、液相の膜厚の違いによって、以下のような傾向的特徴があります。分析対象や目的に応じて、適切な条件を見極めましょう。
- カラムの内径
内径の細いカラムは、試料負荷量は小さいが、分離効率が高い。一方、内径の太いカラムは、分離効率は低くなるが、試料負荷量は大きい。
- カラムの長さ
カラムが長いほど、分析時間は長くなるが、分離度は高くなる。一方、カラムが短いほど、分離度は低くなるが、分析時間は短くなる。
- 液相の膜厚
膜厚が薄いほど、試料負荷量は少なくなるが、分析時間は短く・分離効率は高く・ブリード(※6)は少なくなる。固定相が少ない分、保持が弱くなるため、揮発しにくく、固定相に保持されやすい高沸点サンプルの分析に向いている。
一方、膜厚が厚いほど、分析時間は長く・分離効率は低く・ブリードは増えるが、試料負荷量は多くなる。低沸点サンプルの分析に向いている。
※6 ブリード… 固定相から溶出する成分によるバックグラウンド信号のこと。温度が高くなるほど、溶出しやすい傾向にある。
カラムの種類
GCのカラムには、「パックドカラム」と「キャピラリーカラム」があり、それぞれ以下のような特徴を持っています。
現在主流となっているのはキャピラリーカラムですが、目的に応じて、パックドカラムが用いられるケースもあります。
- パックドカラム
初期のGCから使用されているカラム。ステンレスやガラス製の太く短い管内に粒子状の充填物を詰めた構造を持つ。珪藻土などの担体に固定相となる液相を含浸・塗布した充填剤や、活性炭などの吸着剤が用いられる。粒子が小さいほど、固定相の表面積は大きくなるため、分離効率が高くなるが、圧力損失は大きくなる。大量のサンプルを導入でき、分析用途に応じて多種多様な種類がある。
- キャピラリーカラム
現在主流となっている細く長いカラム。フューズドシリカ(溶融石英ガラス管)や不活性処理ステンレスで作られており、不活性度が高い。内壁に液相が塗布または化学結合されており、充填物がなく流路が単純なため、カラム内での成分の拡散が抑えられ、パックドカラムよりもシャープなピークが得られる(下図参照)。分離効率が高いため、微量分析や多成分分析などにも適している。

固定相の種類
固定相にはさまざまな種類があり、それぞれ分離特性が異なります。そのため、分析目的や分析対象の化学的性質に応じた総合的な判断が重要です。
ここでは大きく「無極性」と「極性」という2つのタイプに分けて、特徴を比較します。
- 無極性カラム
分散力(※7)を利用して分離する仕組み。分散力が強い化合物ほど保持されやすい。
分散力は分子の大きさが大きいほど強くなる傾向がある。また、一般的に、分子が大きいほど沸点は高くなり、揮発しにくくなる。そのため、結果として、沸点が低い順に溶出する傾向がある。
沸点差のある化合物や、炭化水素などの無極性化合物の分離に適している。
- 極性カラム
官能基の種類や分子構造のちがいによって、固定相との相互作用の強さに差が生じることを利用して分離する仕組み。分析対象の特徴に応じて、相互作用に差が出やすい固定相を選ぶ必要がある。
(例:フェニル基含有量のちがいで分離したい場合はフェニルメチル系 など)
※7 分散力… 分子間に働く弱い引力のひとつ。ここでは、瞬間的な電荷の偏りによって生じる、分子と固定相の間にはたらくごく弱い引力のこと。
なお、固定相の種類によって使用温度範囲は異なる点にも注意しましょう。
GC(ガスクロマトグラフ)を選ぶ3つのポイント

この章では、GC(ガスクロマトグラフ)の選定ポイントを説明します。
最適なGCを選定するには、分析対象や目的に合わせた総合的な判断が必要です。池田理化ではお客様の用途に合わせて、適切なシステムをご提案します。
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1.分析の目的に合わせた構成要素の選択
ひとつめのポイントは、分析目的に合わせた構成要素の選択です。注入口・カラムオーブン・検出器を選ぶ際に参考となる情報を、それぞれご紹介します。
注入口の種類と用途
注入口は気化方式によって、大きく2つに分けられます。
さらに各タイプの代表的な注入法には以下のような種類があります。
それぞれの特徴を把握し、用途に応じた選択が重要です。
高温の注入口で瞬時に気化させる方法
この方法は「導入するサンプル量」ごとに以下のように分類されます。
- スプリット注入法
サンプルの大部分が排出(スプリット)され、一部のみがカラムに導入される。後述のスプリットレス注入法よりもシャープなピークが得られる。カラムへのサンプルの導入量が少ないため、低濃度成分の分離には不向き。
- スプリットレス注入法
サンプル注入から1~2分程度排出を止め(スプリットレス)、サンプルの大部分をカラムに導入する。カラムへのサンプル導入量が多いため、微量分析に向いているが、スプリット注入法と比べると、ピーク幅が広がりやすい。(※8)
低温の注入口に導入する方法(サンプル溶媒の沸点以下)
この方法は「サンプルを気化させる場所」ごとに以下のように分類されます。
- 温度プログラム気化法(PTV)
サンプル注入後、注入口の温度を上げることで、サンプルを気化させる手法。組成変化が起きにくく、熱分解が少ない。導入量の制御方法として、スプリット注入法やスプリットレス注入法を用いることができるため、高濃度・低濃度成分いずれの分析にも対応可能。
- コールドオンカラム注入法
サンプルをカラムに直接注入し、カラムの温度を上げることで、サンプルをカラム内で気化させる手法。再現性が高く、最も熱分解が少ない。一方で、カラム入口の汚染リスクが高いという側面もある。
また、必要に応じて、複数の注入法に対応可能なタイプも検討しましょう。
より厳密な精度が求められる場合は、温度精度や昇温・冷却速度も確認するとよいでしょう。
※8 補足… カラムの温度をサンプルや溶媒の沸点より低く設定したり、カラムの初期温度と保持温度に十分な温度差を設定したりすることで、ピークの広がりを抑えることは可能。
カラムオーブンの選び方
カラムオーブンを選ぶ際は、温度制御性能(温度範囲、精度、昇温・冷却速度)や内部容量を考慮しましょう。
また、一部のシステムでは、独立した温度制御機構を持つ複数のオーブンを搭載することで、条件の異なる分析を並行して行うことができ、分析時間の短縮に繋がります。
検出器の種類と用途
ここでは代表的な3種類の検出器を紹介します。
- 水素炎イオン化検出器(FID)
水素炎中で燃焼することで、サンプル中の炭素を酸化・イオン化させ、そのイオンを静電気の力を利用して捕集し、成分を検出する仕組み。
一部の例外を除き、炭素原子(C)を持つほとんどすべての有機化合物に対して感度がある。そのため、幅広い分野で使用される。
- 熱伝導度検出器(TCD)
キャリアガスと、分離された成分の熱伝導率の差で検出する仕組み。
キャリアガスには、熱伝導率が高いヘリウム(He)や水素(H2)が主に用いられる。無機ガスの分析などに用いられる。
- 電子補足検出器(ECD)
比較的汎用性が高いFIDやTCDに対して、ECDは有機ハロゲン化合物や有機金属化合物などの電子親和性の高い化合物に特化した検出器。
放射性同位元素が搭載されているため、「放射線障害防止法」に基づき、文部科学省への使用届出が必須であることに注意。残留農薬や異臭分析に用いられている。
このほかにも、下記のような特定の化合物に特化した検出器があります。
- 炎光光度検出器(FPD):硫黄化合物、リン化合物、有機スズ化合物を選択的に検出可能
- 窒素リン検出器(NPD):窒素化合物、リン化合物を選択的に検出可能
- 化学発光硫黄検出器(SCD):硫黄化合物を選択的に検出可能
分析したいサンプルや目的によって最適な検出器は異なるため、「どのようなサンプルをどのような条件で分離したいのか?」を明確にしておくとよいでしょう。
2.拡張性の有無
GCを選定する際には、将来的な機能拡張が可能かどうかも重要なポイントです。
機能を限定することで価格を抑えたモデルも存在しますが、研究開発用途では、分析対象や手法の変更に伴い、後から追加機能が必要になるケースも少なくありません。GCは長期使用を前提とする高価な機器であるため、初期導入時の仕様が将来の運用の柔軟性を左右します。拡張性の低いモデルを選択すると、結果として、後の買い替えや追加投資により総コストが増加する可能性があります。
オートサンプラーによる自動化
多検体を連続して分析する場合には、オートサンプラーの導入が有効です。自動注入により、連続処理が可能になるだけでなく、手動操作による注入のばらつきの低減にもつながります。
オートサンプラーは標準搭載型と後付け可能なタイプ、後付けできないタイプがあり、導入時点で多検体処理が想定される場合には、あらかじめ対応可能な構成を選択しておくことが望ましいと言えます。
なお、「オートインジェクター」は主に注入動作を自動化する機構を指し、「オートサンプラー」は試料管理機能や前処理機能(例:希釈、誘導体化など)を含むより広い概念として用いられることが多いようですが、これらの用語の定義はメーカーによって必ずしも統一されていません。
どの作業を自動化させたいのか、多検体とは具体的にどれくらいなのかも明確にしておくとよいでしょう。
GC-MSへの拡張
GCに質量分析計(MS)を接続したGC-MS(ジーシーマス)は、分離した成分の質量スペクトルを取得することで、化合物の同定確認や構造情報の取得を可能にします。標準物質との保持時間比較のみでは判別が難しい成分や、サンプル中の未同定成分の解析にも有用です。また、選択イオンモニタリング(SIM)を用いることで、好感度な定量分析も可能です。
さらに、GC-MS/MS(ジーシーマスマス)では二段階の質量分析(タンデム質量分析)を行うことで、不純物や夾雑物が多いサンプル中の微量成分を、より高い選択性および感度で分析することが可能です。特に、複雑な超微量成分規制値の厳しい分析において有用です。
将来的に高度な同定や微量分析が必要となる可能性がある場合には、MSへの拡張が可能なGCシステムを選択しておくことが重要です。
3.サポート、保守・メンテナンス体制
導入後のサポート体制や、保守・メンテナンス体制も確認しておくべきポイントです。
サポート体制の充実度
GCは精密かつ構成要素の多い分析機器であり、導入後に安定して運用するためには、原理や機器構成に関する基礎理解が不可欠です。また、分析対象や目的が変われば、カラム選択や注入条件、検出器設定などを適切に再構築する必要があり、その都度最適化が求められ、アプリケーションごとに注意点や最適条件が異なります。
そのため、多くのメーカーでは、操作トレーニング、アプリケーションセミナー、講習会などを提供しています。これらの機会が十分に用意されているか、また継続的に利用できる体制が整っているかを事前に確認しておくとよいでしょう。
また、近年では、ユーザー側で日常メンテナンスを簡便に行える設計を重視するメーカーも増えています。ダウンタイムの低減や保守コストの抑制につながるため、こうした点も選定時に確認しておきたいポイントです。
保守・メンテナンス体制
GCは高価で精密な機器であり、安定した分析精度を維持するためには定期的な点検・消耗部品の交換・性能確認が不可欠です。
迅速な修理対応や定期保守契約の内容は、装置の安定的な稼働や長期的な運用コストに直結します。
保守契約には一定の費用がかかるため、導入時の本体価格だけでなく、年間保守費用や部品交換費用も含めたトータルコストを事前に確認し、計画的に予算化しておくことが重要です。
GCには、分析目的に合わせた構成要素の選択・拡張性・サポート体制など多くの選定ポイントがあり、「どれを選べばよいかわからない」「分析目的に合った構成が知りたい」とお悩みの方も多いのではないでしょうか。
池田理化は、目的に応じた最適なGCシステムの選定をサポートしています。機種選定でお困りの方は、ぜひお気軽にご相談ください。